求職者向けのまとめ

「数字は並んでいる」の先へ

WAMNET公表値の検算から学ぶ、
A型事業所の見極め方

パーソルネクステージ9拠点の公表データを、公式の計算式で一つずつ確かめました。

拠点項目公表値
長崎移行率(2025年度)14.0%
高松移行率(2025年度)0.0%
福岡3年定着者数3人
大分2年定着者数2人

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情報公表制度は、利用者が「選ぶ」ための仕組み

WAM NET で公表される主な項目(就労継続支援A型)
一般就労への移行移行者数・移行率
就職後の定着6月・1年・2年・3年の定着者数
賃金利用者の平均賃金(月額)
生産活動収入・経費・利用者の賃金総額

障害のある人や家族が、事業所の実績を比べて、自分に合う支援先を選ぶための数字です。

ところが9拠点の公表値を公式の計算式で検算すると、算術として成り立たない数字や、互いに矛盾する数字が複数見つかりました。

福岡/福岡コネクト/北九州/長崎/大分/鹿児島/広島/高松/松山

その多くは、専門知識がなくても確かめられます。

長崎の移行率「3人・14.0%」は、どの分母でも出てこない

移行率は、小数第2位を四捨五入して小数第1位まで出します。分母に整数を置いて、実際に計算してみます。

13.0 13.5 14.0 14.5 15.0 3÷22人=13.6% 3÷21人=14.3% 3÷20人=15.0% 公表値 14.0% 21人と22人のあいだ=分母が整数にならない

大分も同じでした

2024年度「1人・4.1%」:24人なら4.2%、25人なら4.0%
2023年度「2人・6.8%」:29人なら6.9%、30人なら6.7%

確かめ方人数を割合で割ると、分母が出ます。
3 ÷ 0.140 = 21.4人。人数は小数になりません。

出典:WAM NET 障害福祉サービス等情報公表システム(パーソルネクステージ各拠点)

高松の「1人・0.0%」に必要な分母は

0人以上

1 ÷ 2,001 = 0.0499…% → 四捨五入で 0.0%

定員は 20人

年間の利用終了者が2,000人を超えることは、まず考えられません。

確かめ方計算で出てきた分母が、その事業所の規模に見合うかを見ます。

小さな事業所では、1人で5ポイント動く

分母が20人のとき

+5ポイント

1人が就職するだけで、移行率は5ポイント上がります。

確かめ方「移行率○%」という見出しより、「何人中何人か」を見ます。

定着者数は「下っていく階段」のはず

1年続いた人は、必ず6月も続いています。だから 6月 ≧ 1年 ≧ 2年 ≧ 3年 になります。

福岡

2人
2人
3人
1年2年3年

3年が1年・2年より多い

大分

1人
1人
2人
6月1年2年

2年が6月・1年より多い

確かめ方計算はいりません。数字が途中で増えていたら、記録の管理方法を聞く理由になります。

賃金は「三つの数字」を並べる

WAM NET の平均賃金事業所が公表する平均賃金表求人票の時給 × 勤務時間
情報公表システムに入力された月額事業所自身が出している実績条件どおり働いた場合の目安

大きく食い違っていたら、こう聞きます。
「これは実績の平均ですか、モデルですか」

長崎・高松:WAM NET の月額126,000円は、時給1,050円 × 6時間 × 20日 と一致。実績の平均ではなく、モデル賃金とみられます

月額を記入した7拠点のうち6拠点で、WAM NET の月額は会社自身の平均賃金表(賞与なし)より低くなっていました。

モデル:20日すべて出勤した場合

実績:休んだ日も含めた平均(イメージ)

体調で休む日がある人ほど、この差は大きく響きます。

同じ会社の中で、経費の入れ方が揃っていない

A型事業所は、生産活動の収支(収入 − 経費)で利用者の賃金をまかなう決まりがあります。

生産活動収入−経費(利用者の賃金を含む)=収支
生産活動収入−経費(利用者の賃金を含まない)=収支

福岡・福岡コネクト・北九州は含む入れ方、大分は含まない入れ方で、それぞれ会社のスコア表と円単位で一致しました。

WAM NET の値だけで計算すると、
9拠点中5拠点が基準未達に見える

確かめ方会社が公表しているスコア表の「生産活動」の欄と突き合わせます。

公表資料は、日付を変えずに差し替わることがある

6月に記録した版

書類の日付
2026年4月10日
前年度 生産活動収入−経費
39,969,000円

現在の版

書類の日付
2026年4月10日
前年度 生産活動収入−経費
39,877,277円
PDFの作成日
2026年6月24日

例:福岡コネクトのスコア表(様式2-2)

差し替えのあった6拠点:前年度の生産活動(収入−経費)の差額

スコアの点数は、6拠点とも変わっていません。書類だけを見ても、差し替えに気づけません。

確かめ方気になる事業所の公表資料は、見たその日に保存します。PDFはダウンロードしてファイル名に日付を入れ、WAM NET のページは印刷機能でPDFにして残します。

閉鎖した拠点の記録は、見えなくなる

福岡福岡コネクト 北九州 長崎 大分 鹿児島 広島 松山 高松 札幌 仙台 富山 静岡

札幌・仙台・富山・静岡が閉鎖
定員にして計80人規模

閉鎖すると、WAM NET の公表内容は見られなくなります。閉鎖で雇用契約を終えたとみられる利用者のその後は、公表データから追えません。

聞くこと「過去に閉鎖した拠点はありますか。そのとき利用者はどうなりましたか」

問題は「ミス」より「確認の仕組み」

複数の拠点・複数の年度にわたって不整合が残っています。次の確認が働いていれば、公表前に気づけたはずです。

  • 割合と人数が合っているかの検算
  • 年度・対象者・経費の範囲が揃っているかの確認
  • 自社で公表しているスコア表・平均賃金表との突き合わせ

正確な数字を利用者に示すのは、
事業者自身の責任です。

公表前の確認がほぼ事業者の自己申告に委ねられている、制度の側の弱さもあります。

数字の誤りは、誠実さを測る物差しになる

見てほしいのは、誤りそのものより、指摘したときの答え方です。

誤りを認めて、説明する

利用を始めてから何か起きたときも、同じように向き合う可能性が高い

はぐらかす

利用を始めてからの対応も、同じになりかねない

検算は、責める材料ではなく、
事業所の誠実さを測る物差し。

見学・面接で聞く5つの質問

  • 移行率の分母(その年度の利用終了者数)は何人ですか
  • 平均賃金は実績の平均ですか、モデル賃金ですか。直近の実績はいくらですか
  • 生産活動の収支で、利用者の賃金をまかなえていますか
  • 過去に閉鎖した拠点はありますか。そのとき利用者はどうなりましたか※事業所を廃止・休止する事業者には、同じようなサービスを続けて受けたい利用者に必要なサービスが途切れないよう、ほかの事業者や関係者との連絡調整などを行う義務があります(障害者総合支援法第43条第4項)。
  • 公表している数字に誤りが見つかったとき、どこで訂正を知らせていますか

問われるのは「数字が公表されているか」ではなく

「確かめられる形で
公表されているか」

確かめることは、利用者の側にもできます。
数字を疑うためではありません。
自分の数年を預ける場所を、自分の目で見極めるために。

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