既読 10:00
「『はたらく』に、ボーダレスな世界を。」……非常に響きの良い言葉ですね。障害のあるなしに関わらず、誰もが活躍できる社会。今の日本で最も求められている価値観の一つです。
解説
そうですね。特に就労継続支援A型事業所という、福祉と企業の狭間にある組織がこの理念を掲げることには、大きな社会的意義があるように見えます。ただ、今日はその「美しい理念」が、現場という密室でどのように「翻訳」されているのか。そこに焦点を当ててみたいと思います。
10:01
既読 10:01
翻訳、ですか?
解説
ええ。例えば、「ボーダレス」という言葉。これが「障害者と健常者の境界をなくす」という意味ではなく、「法律という境界線を越えて、企業の独自ルールを押し付ける」という意味に変わっていたとしたら……どうでしょう?
10:02
既読 10:03
それは少し、穏やかではありませんね。今回は、ある大手系列の事業所に関する複数の元利用者による証言と、公開されているデータから、その「運営システム」の実態を読み解いていきます。
既読 10:03
まず、この事業所の特徴として挙げられるのが「高いレベル」です。口コミや評判を見ると、「A型事業所の中でもトップクラス」「選ばれた人が入れる」といった声が目立ちます。これ自体は、利用者のモチベーションとしてポジティブなものではないでしょうか?
解説
そこが非常に巧妙な点です。実はこれ、心理学的なプロセスで見ると、一種の「選民意識の植え付け」として機能している可能性があります。
10:05
既読 10:05
選民意識、ですか?!
解説
ええ。「あなたは厳しい面接を乗り越えた、特別な存在だ」と刷り込むことで、組織への帰属意識を高める。しかし実態を見てみると、行われている業務は一般的なデータ入力などの事務作業が中心という証言が多い。ここに最初の矛盾があります。
10:06
解説
「作業内容は平凡」なのに「自分たちは特別だ」と思わせる。これは、後の支配を受け入れやすくするための「地ならし」に見えるんです。
10:06
既読 10:07
なるほど。確かに「ここは他とは違う」と思い込めば、多少の理不尽も「高いレベルだから仕方ない」と正当化してしまいそうです。
解説
その通りです。現場では「成長意欲が高い人向け」という言葉が多用されるそうですが、証言を分析すると、この言葉は「配慮を必要としない人」「会社の都合に黙って従う人」を選別するためのフィルターとして機能している節があります。
10:08
既読 10:08
つまり、「支援が必要な人」のための場所でありながら、「支援を求めない人」を優遇していると?
解説
逆説的ですが、そういうことです。「厳しさ」が目的化し、方針に納得できない利用者は「成長意欲がない」と切り捨てられる。これは「支援」ではなく、生存競争による「間引き」に近い構造です。
10:10
既読 10:11
しかし、A型事業所は一般就労へのステップアップを目指す場所でもあります。「社会は厳しいから、ここでも厳しくする」という指導方針は、ある意味で理にかなっているようにも思えますが。
解説
そこが最大のトリックです。2024年4月から、民間企業でも「合理的配慮の提供」が義務化されたことはご存知ですよね?
10:12
既読 10:12
はい。障害のある方から申し出があった場合、過重な負担がない範囲で配慮することが法律で義務付けられました。
解説
にもかかわらず、この組織では、配慮を求める利用者に対し「一般就労では配慮してもらえないよ」と言って突き放す事例が報告されています。
10:13
解説
これは奇妙な話です。「ルールを守れ」と指導する側が、法律で決まった義務を「一般就労では通用しない」と嘘をついて拒否しているわけですから。
10:13
既読 10:14
ああ……なるほど。独自の「厳しさ」を優先するあまり、法律という「より大きな社会のルール」を軽視している状態なんですね。
解説
そういうことです。さらに深刻なのは、この「厳しさ」の正体が、実は支援員のスキル不足」を隠すための言い訳「になっている可能性が高い点です。
10:15
既読 10:15
どういうことでしょう?
解説
個別の障害特性に合わせて、業務フローを調整したりマニュアルを整備したりするのは、一定のスキルが必要です。それができない支援員が、「面倒で配慮しないこと」を「あえて厳しくしている」と言い換えているとしたら?
10:16
既読 10:17
それは……ただの
「怠慢」「職務放棄」=「教育的指導」
と偽装していることになりますね。
解説
ええ。証言の中には、支援員の障害理解やITリテラシーが利用者よりかなり低く、利用者の希望や提案を理解できずに潰した、という事例もあります。
10:18
解説
能力不足を権威で隠すために「厳しさ」が利用されている。非常に歪な構造です。
10:18
既読 10:19
組織運営の面でも、気になる証言があります。利用者同士の個人的な連絡先交換、例えばLINEなどを禁止する誓約書への署名を求めているそうですね。理由は「トラブル防止」や「個人情報保護」とのことですが。
解説
企業としてリスク管理は大切ですが、業務外の私的な交友関係まで誓約書で縛るというのは、一般的な企業では考えにくい強権的な措置です。これには別の意図、すなわち「分断統治」の側面があると考えられます。
10:20
既読 10:20
分断統治?
解説
利用者同士が横でつながり、情報交換をすることを防ぐんです。「あの指導はおかしい」「業務手順内の数値が変だ」といった不満が共有され、連帯が生まれるのを恐れているのではないでしょうか。
10:21
既読 10:22
確かに、孤立した個人は組織に対して弱いですからね。
解説
ええ。さらに、公式サイトには長く勤めたスタッフしか掲載せず、実際には激しい離職率であることを隠しているという指摘もあります。利用者もスタッフも、情報の非対称性の中に置かれている。「ボーダレス」を謳いながら、組織の内側には無数の「見えない壁」が張り巡らされているわけです。
10:23
既読 10:24
広報写真では車椅子の方が働いている姿があるのに、実際の現場には段差があったり、トイレが男女共用だったりという報告もありますね。
解説
それを「ダイバーシティ・ウォッシング(多様性のうわべだけの利用)」と呼びます。外向けのイメージ戦略と、中の実態が乖離している。この「見せかけの自由」こそが、利用者を混乱させ、心理的に支配する要因になっています。
10:25
既読 10:26
次にお金の話です。この事業所は時給が高めに設定されており、それを魅力に感じる求職者も多いようです。
解説
ここにも数字のトリックがあります。時給は高くても、多くの利用者がスタートする初期グレード、仮に「NX1」としましょうか。ここは1日の勤務時間が「6時間」に制限されているそうです。
10:27
既読 10:28
6時間……。時給が良くても、労働時間が短ければ月収は伸びませんね。
解説
そうなんです。単純計算しても、自立して生活するには極めて厳しい年収になります。そして、8時間勤務への「昇格」には評価が必要になる。
10:29
既読 10:29
成果を出せば昇格できるのでは?
解説
ところが証言によれば、その評価基準は「基準文書の規定」よりも「会社の文化への順応性」……つまり「従順さ」が重視される傾向にあるといいます。
10:30
解説
ある利用者は、同じNX1の6時間賃金で高負荷な業務を追加で押し付けられ、それを断ったら評価を下げられたそうです。
10:30
既読 10:31
それは……。「経済的な自立」を人質にして、「言うことを聞くこと」を強要しているようにも見えますね。
解説
まさに。「生殺し」の状態を維持することで、組織にとって使い勝手の良い、手のかからない労働力をプールしておく。
これが意図的な設計だとしたら、福祉事業ではなく、ただの「貧困ビジネス」の一種と言われても反論できないでしょう。
10:32
既読 10:33
ここまで見てくると、個別のトラブルというよりは、組織全体に共通する「構造的な問題」が見えてきます。最後に、最近投稿されたある元利用者のクチコミを紹介させてください。非常に冷静に、この組織の本質を突いています。
既読 10:33
『厚生労働省や自治体から補助金を得て運営されている福祉事業所であるにも関わらず、その公的な支援が利用者の真の社会復帰に使われているとは言い難い。むしろ『厳しさ』を盾に、統制効率を優先するような運営がなされているのではないか』
解説
……非常に重い指摘です。就労継続支援A型事業所は、公費、つまり我々の税金や保険料が投入されています。その資金が、利用者の「自立」ではなく、企業が利用者を「支配」するための管理コストや、実体のないブランドイメージの構築に使われているとしたら。
10:35
既読 10:35
由々しき問題として捉える必要がありますね。
福祉事業所が公金を受け取るのは、「社会が支えるべき人を支える」という公共的使命を委託されているから。
その公金で運営しながら、「一般就労の厳しさ」を振りかざして利用者を萎縮させるのは、委託された使命への裏切りであり、事実上の詐取にも見えます。
解説
はい。特に社会人経験のない若者や、療養明けで不安を抱える人々が、「これが社会の普通なんだ」「自分がダメなんだ」と思い込まされ、才能や自尊心を潰されていく。これを「支援」と呼んでいいのか。
10:37
解説
もし、あなたが「PCスキルは初心者レベル」なら、ここはまずまずの訓練の場かもしれません。しかし、もしあなたが「専門性」を持ち、「法に基づいた正当な配慮」を望むなら……あなたの貴重な時間と能力、そして「健康」という資本をどこに投資すべきか。よく考える必要があります。
10:37
既読 10:38
「『はたらく』に、ボーダレスな世界を。」……その言葉が、法律や倫理を無視するための隠れ蓑にならないことを祈るばかりです。本日はありがとうございました。